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2020年10月期が終わりました。新体制への移行も発表されましたが、これまでの振り返りを聞かせてください。

岡:当社は2017年4月に東証2部に上場し、2018年4月には東証1部銘柄に指定されるなど、これまで安定かつ着実な成長を遂げてきました。当社の歴史の中でも、上場は一つの大きなメルクマールでしたが、そうした一つの目標に向けて社員が一丸となって協力をしてくれたこと、そして上場後も会社のさらなる発展のために日々一生懸命仕事に取り組んでくれていることに、私は感謝の気持ちしかありません。2014年4月に会長に就任して以来、私は会社を一つの家と見立て、社員たちとは家族のようでありたいと願い、その思いを伝え続けてきました。家族が代々大切にする家訓が、当社の経営理念、すなわち、「『安心・安全・快適・環境・健康・福祉』に配慮した豊かな生活空間の創造を目指し、健全な若者の育成と魅力溢れる社会の実現に、おもてなしの心と笑顔で貢献」することです。この共通の理念の下、たとえ困難に遭遇しても皆で一致団結して乗り越えていける、そういう会社で今後もあり続けたいと思います。新体制への移行も、親が子に譲るような気持ちで引き継ぎ、今後のさらなる会社の繁栄を見守り続けたいと思います。

田中:私もまったく同じ気持ちです。私は1985年に当社の前身である京都学生情報センターに、5番目の社員として中途入社しました。以来、今回のコロナ禍も含め、日本経済の高度成長期やその結果としてのバブル崩壊、2008年のリーマンショックと、社会・経済的に大きな影響をもたらした事象に直面するたびに、会社はどうあるべきかを真剣に考えてきました。その中で得た結論は、社会に必要とされることこそが会社存続のすべてだということ。よって家訓、すなわち経営理念にもこの思いが込められています。2014年の社長就任以降、当社は、社員の努力によってさまざまなムダを排除した結果、利益率も向上し、筋肉質な体質へと強化されてきました。
2020年10月期の業績は売上高が前期比12.6%増の480億円、経常利益は同27.0%増の42億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同19.7%増の27億円と、コロナ禍での対応を必要とする課題もありますが、増収増益を維持し、2017年12月に発表した中期経営計画の最終年度としての計画数値も超過達成しました。常に立ち返る原点である経営理念さえぶれなければ、今後10年、20年先も、さまざまな困難を乗り越えて持続的成長を遂げていけると確信しています。

株主総会決議を経て、新体制となりました。岡取締役、田中取締役からは新社長に託したいことを、近藤新社長からは抱負を、それぞれ聞かせてください。

岡:私の願いは、当社が世の中の皆さまに感謝していただきながら永続的に存続することです。経営理念を守りながら、立ち止まることなく挑戦し続け、新たな時代を切り拓く経営に期待しています。

田中:近藤新社長は、家賃設定やエリア特性に合わせた事業展開といった事業運営手法はむしろ私たちよりも明るいと思います。今後、社員をはじめさまざまなステークホルダーとの信頼関係をうまく構築しながら、バランス良く経営していただきたいと思います。

近藤:ありがとうございます。当面はウィズコロナのニューノーマル(新常態)に適合させることに注力しながら、これまでお二人の下で着実に成長を遂げてきた当社グループをさらに発展させ、未来永劫存続し続ける会社となれるよう、社員とともに全力を尽くしてまいります。私が目指すのは、「両利きの経営」です。
すなわち、良質なストックと強固な経営基盤を引き続き維持しながら、経営理念を深化させ、同時に、サービス提供範囲の広域化などの新たなチャレンジの探索を通じて成功しそうなものを見極めて磨き込み、未来に向けてイノベーションを創出していきたいと考えています。「未来を開拓する」ことは当社の社是です。既成概念にとらわれないチャレンジ精神で、社員とともに一丸となってチャレンジしていきたいと思います。

岡:当社の事業は安定成長を続けていけると思いますので、そこに新社長の風をぜひ吹かせていただきたいと思います。

田中:そうですね。新社長の考え、実績、能力にはとても安心しています。株主・投資家の皆さまや社員など、すべてのステークホルダーが笑顔でいられるような環境づくりに努めていただければうれしく思います。

近藤新社長は、10年先、20年先の当社の姿をどのように描いていますか。

近藤:当社が提供する住まいやサービスを通じて、日本の未来を担う若者と社会とをつなぎ、それを新たな価値として創造していきたいと思っています。10年先、20年先には、当社のサービス提供エリアも国内外問わずさらに広げていたいですし、事業領域も今の本業をしっかりと根幹にしながら、既存事業の枝葉の部分において新規事業が花開くような、事業の拡大ができていると良いと思っています。

そのような姿を実現していくうえで、当社の競争優位性は何だと思いますか。

近藤:当社は店舗数やサブリースの戸数などの点から業界最大手の規模感があることに加え、創業当時より企画から賃貸・管理までを一気通貫で手掛けてきたことで培われたノウハウがあることが差別化要因となっています。また通常の不動産では都心に位置し駅近であることが重要ですが、学生マンション事業では、地方に位置し駅から遠くても学校から近ければ良いという点も差異化ポイントになります。また、学生マンション事業で得られた経験やノウハウは、高齢者住宅事業においても差別化要素として活きています。地域によって家賃相場やマーケットは異なりますが、同じ思いを持った社員が全国各地に常駐して同じビジネスモデルで営業展開することで、学生の皆さま、そして高齢者の皆さまに対して、丁寧かつ手厚いケアの提供を実現できていると思います。

岡:そうですね。これまで私は社員たちに思いやりや気遣いといった「心」の大切さを訴えてきましたが、オーナーさま、お客さまである学生さまやその保護者さま、ご高齢者の方々といった、当社の事業に関わるすべての方々に、どのようなサービスが喜ばれるのか、きめ細やかな思いやりの心を忘れずに提供してきたことが当社の強みになっていると思います。

田中:学生マンション事業では、失礼を顧みず申し上げれば、社会的にはまだ半分子どもの要素も持ち合わせている学生さまと、不動産という一つの契約を締結することになりますので、弱者の側面もある学生さまの支援につながることを大切にしています。当社のさまざまな意思決定には、そうした考え方が根幹にあり、岡の言うきめ細やかさや気遣いも、社員に十分理解され浸透しています。
こうした理念に沿って着実に一歩一歩積み重ねることで、これまでも安定的に成長を遂げてきており、今後も右肩上がりに着実に事業を伸ばしていきたいと思います。

近藤新社長の描く未来像の実現に向けて、何が課題だと認識していますか。

近藤:他社に負けない高品質なサービスを、よりリーズナブルに提供していくためには、急速に進化を続けるAIやIoTなどのテクノロジーを取り込んでいく必要性を感じています。引き続き当社の経営理念が今後もぶれない軸としてあり続けるよう、社員に繰り返し伝えることで共感を得ながら、一方通行ではなく、社員たちの声も取り入れて時代に合ったアレンジを加え、新しい時代を切り拓くチャレンジをしていきたいと思います。

株主の皆さまに向けてメッセージをお願いします。

岡:私たち経営陣の最大の課題は、会社が永久的に存続し発展し続けられるようにすることだと考えています。今回の新経営体制への移行はそのための第一歩であり、これまで以上に強固な体制を構築しながら、新たな挑戦を通じて未来を開拓してまいります。株主の皆さまも、どうぞご協力いただけますようよろしくお願い申し上げます。

田中:今後私たちの不動産業界では、ITを活用した不動産テックともいえるイノベーションが、このコロナ禍でさらに加速される形で生まれてきます。当社として、そうしたイノベーションをどのように取り込んでいくか。まさに私たちの次の世代がより得意とする分野でもありますので、近藤社長を中心に、社員とともに成長を図っていきたいと思います。

近藤:当社を通じて、未来を担う若者と、高齢者も含めた社会とをつなぐことで、日本の将来に新たな価値を創出していきたいと思っています。株主の皆さまにおかれましては、引き続き変わらぬご支援をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。