トップインタビュー
TOP INTERVIEW
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まず初めに、前取締役による私的な経費使用等に関し、株主および投資家の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。この事態を真摯に受け止め、コーポレートガバナンスの再構築と強化を最重要課題として取り組んでおります。すでに公表した再発防止策に基づき、取締役会の監督機能の強化、内部統制の高度化、企業倫理の徹底などを進め、信頼回復と持続的な成長基盤の確立に努めてまいります。
業績面では、主力事業である学生マンション事業では、2023年11月の学生ハウジングの子会社化も含めて、新規物件開発が順調に進み、物件管理戸数が増加し、入居率も引き続き高水準を維持しました。また、長崎大学や山口大学など、大学構内での学生マンションを運営するプロジェクトは、早期に満室に至り、業績にも貢献しました。
費用面では、広告宣伝費や保証家賃に加え、自社所有物件の増加に伴う減価償却費の増加などが見られましたが、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、期初見通しを超過達成し、10年連続での増収増益となりました。前期は、2023年11月に高齢者住宅事業を中心的に担うグランユニライフケアサービスの全株式を学研ココファンに譲渡したことから、学生マンションに経営資源を集中した1年でした。物件開発戸数は当社にとって過去最大規模となり、3,500室を管理する学生ハウジングをグループ化したことも、当社にとって大きな飛躍となりました。
当社は中期経営計画「GT02」を推進しており、その先にある2030年の長期ビジョンの策定に取り組んでいます。「GT02」では業務改革を最重要項目として設定し、ビジネスプロセスエンジニアリング(BPR)、DX、そしてビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)を3本柱として、人的資本・知的資本・気候変動・事業ポートフォリオを重要項目に設定し、それらに取り組むことで、長期かつ持続的な企業価値の向上を図ってまいります。
推し進めるにあたり対応すべきことは多岐にわたりますが、以下3点については特に注力して進めていきたいと考えております。
中期経営計画「GT02」の最終年度の2026年10月期には物件管理戸数104,000戸という目標を掲げています。2030年に向かって更に戸数を積み上げるべく、他社との連携・提携等も活用しながら進めて参ります。当社の学生寮市場におけるシェアは現在約5%であり、さらなる成長余地があります。全国の学生需要を的確に捉えながら、管理戸数の拡大を図り、安定した収益基盤の強化を進めてまいります。
学生の多様なニーズに応えるため、住環境の提供だけでなく、学業・生活面でのサポートを充実させ、顧客満足度の向上を図ります。また、国内市場にとどまらず、海外市場への展開を推進し、新たな収益機会の創出を目指します。
企業の成長には、従業員一人ひとりが最大限の力を発揮できる環境が不可欠です。人事制度の改革や企業文化の醸成を通じて、社員の成長を促し、働きがいのある職場づくりを進めてまいります。
これらの取り組みを着実に実行し、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。
当期は、当社が2030年長期ビジョン「Grow Together 2030」のフェーズ2と位置付ける中期経営計画「GT02」の初年度でした。「GT02」では、引き続き、「両利きの経営」と「社員全員の経営」を基本方針とし、業務改革と組織改革を通じて事業の足固めを着実に進めています。
なかでも重要項目の一つである人的資本の取り組みについては、「従業員は資産である」とのコンセプトの下、職責に基づく人事制度の刷新と会社の方向性やミッションを明確化にした新評価制度を導入し、人材の育成、社員ロイヤリティの向上、組織エンゲージメントの強化に努めています。また、2024年6月より社員持株会の奨励金付与率を今まで5%から20%に引き上げました。多くのグループ従業員に自社株式の取得及び保有を促進する事で、従業員が業績や株価を意識する風土づくりに取り組んでいます。
国内労働者人口の減少の中、当社に限らず多くの業界で人手不足が大きな課題となっています。人材を大事にし、働きがいのある会社であり続けることは、新たな人材の確保と定着に向けて不可欠な要素です。当社では、優秀な人材一人ひとりが、自ら興味・関心のある分野でその能力を存分に発揮できる体制を構築するために、DXの活用などを通じた業務効率化も推進しています。従業員がコア業務に注力できるよう、ノンコア業務におけるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の活用も進めています。
環境配慮型物件の推進に関しては、2024年3月に自社開発で初めてのZEH₋M Orientedの基準を満たす物件が福井県に完成し、宮城県では同基準を満たす物件の運営を開始しました。そして2025年より新たに9棟の省エネ対応物件の管理を行う予定となっております。また、2024年4月に、計5棟の管理物件の電力を再生可能エネルギーに切り替えました。
気候変動関連の情報開示に関しては、2024年に事業でのCO2排出量の算定を初めて開始し、自社物件共用部及び調理施設、自社事業拠点のCO2排出量を算定しました。
そして、国際環境NGOであるCDPからの年次質問書に対し、算定したCO2排出量を反映した回答書を初めて提出し、CDPからB-の国際評価を得ることが出来ました。
企業間交流も進めております。2024年6月には持続可能な脱炭素社会の実現を目指す企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」に賛助会員として加盟し、以来、気候変動対応に積極的な企業との情報交換を活発に行っています。
学生マンションを展開する当社では、事業や企業間交流における環境面の対応を推進しながら、学生と共に気候変動について考え、イベント活動などの機会も通じて、社会性の高い価値共創を実現するエコシステムの構築を図っていきます。
大規模な物件開発を進めていますが、入居率や家賃の成約状況を見ても、国内は少子化といえども高品質かつ安心・安全で快適な学生マンション・寮が不足していることが顕著です。そうした物件を増やし、学生向けのサービスをしっかりと提供していくことが当社の使命です。
2030年の長期ビジョン「Grow Together 2030」では、「UniLife」をグローバル・トップブランドにしていくことを目指しています。国際的な視野を持ちながらしっかりと経営基盤を固め、社員を大事にし、社員起点のアイデアを取り入れながら、安心・安全で快適な住まいを追求することで、社会のニーズに応えていきます。
今後もステークホルダーの皆様の力となれるようしっかりと経営をしてまいりますので、引き続き温かいご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。